一般的に解熱・鎮痛剤といえば「ロキソニン(ロキソプロフェン)」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
ロキソニンは「非ステロイド性抗炎症薬(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drug:NSAID)」という分類の薬です。
「アセトアミノフェン」も「ロキソニン」も、大きく分けると解熱・鎮痛剤に分類されますが、この2つは作用の仕方が全く違います。もちろん、副作用も違います。
「ロキソニン」は痛みや熱の原因になるプロスタグランジンという物質が作られるのを止めて、鎮痛・解熱効果を示します。
「アセトアミノフェン」はプロスタグランジンとは関係なく、神経の方に作用し、痛みを押さえたり熱を下げる薬です。
痛みの原因となる物質と、胃の表面を守る物質は非常に似ています。そのため、「ロキソニン」は胃の表面を守る物質を減らしてしまうため胃が痛くなってしまいます。その他に、腎臓の働きを低下させたり、足のむくみが出たりすることもあります。「アセトアミノフェン」は神経に働くため、胃を悪くすることはほとんどありません。腎臓に影響が出たり、むくみが起きることもほとんどありません。しかし、肝臓に負担がかかったりする副作用がおきたりすることがあります。
どちらの薬も、他にいろいろな副作用や注意点がありますので、薬局やドラッグストアで購入する際は、必ず薬剤師に相談してください。
新型コロナウイルスのワクチン接種後の発熱や痛みには、「アセトアミノフェン」の使用が望ましい、といわれてから、ほぼ全てのドラッグストアから、市販薬の「アセトアミノフェン」の姿が消えてしまいました…
なぜ、ワクチン接種後の発熱に「アセトアミノフェン」が推奨されたのでしょうか。平成12年にインフルエンザの患者に「ジクロフェナクナトリウム」という「ロキソプロフェン」の親戚のような解熱鎮痛剤をするとインフルエンザ脳症が増える可能性がある、と厚生労働省が発表したことと関連があると思われます。
この発表があってから、医療現場ではカゼのようなウイルス感染が疑われるときには「ロキソプロフェン」は使用しないで「アセトアミノフェン」を使用することが当たり前となっています。
しかし、今回のワクチン接種はウイルスに実際に感染しているわけではないので、必ずしも「アセトアミノフェン」である必要はないと思われます。
市販のアセトアミノフェンは「タイレノール」という薬が有名ですね。タイレノールは1錠300mgです。医療用では1回の服用量は、体重1kg当たり10mgで使用します。体重30kgの人で1回300mgということですので、市販のタイレノールではやや少ないこととなりますが、添付文書の用法・用量を守って服用しましょう。