アラフィフが近づいてきた私ですが、ここ最近、トイレが近くなり、朝方5時近くに尿意を催して目が覚めることが多くなってきました。そこで、頻尿(過活動膀胱)に使われる薬についての記事をまとめてみました。
過活動膀胱とは
尿意切迫感・頻尿・切迫性尿失禁で構成される症状症候群を呈する病的状態である。症状症候群の構成では、尿意切迫感が必須で、通常は頻尿と夜間頻尿を伴い、切迫性尿失禁を伴うこともある。ただし、同様な症状をきたす他の明らかな疾患は除外されたものとする。除外が必要な疾患としては、下部尿路の炎症・感染(例えば、細菌性膀胱炎、間質性膀胱炎、尿道炎、前立腺炎)、下部尿路の新生物(例えば、膀胱癌、前立腺癌)、尿路結石(例えば、膀胱結石、尿道結石)、腹圧性尿失禁、多尿等が挙げられる。
厚生労働省「過活動膀胱治療薬の臨床評価方法に関するガイドライン」について
つまり、癌や尿路結石、膀胱炎、前立腺炎など、他の原因がないのに、急に我慢できないほどの強い尿意を催し、1日当たりの排尿回数が極端に多くなり、夜間にも排尿のために起きなければならなくなる状態を指します。
通常、成人では1日当たりの排尿回数は大半の人で約5~7回で、1日当たりの排尿量は1000mLから1500mL程度と言われています。
過活動膀胱は、排尿を促すように働く膀胱の筋肉が過敏に収縮して尿意を催すことが原因ですので、膀胱の筋肉が収縮しないようにする薬が使われます。
過活動膀胱の治療薬 抗コリン薬
副交感神経の働きを抑えて、膀胱の筋肉が収縮するのを抑える薬です。
- ステーブラ、ウリトス(イミダフェナシン)
- トビエース(フェソテロジン)
- ベシケア(ソリフェナシン)
- バップフォー(プロピベリン)
- ポラキス、ネオキシテープ(オキシブチニン)
過活動膀胱の治療薬 β3作動薬
交感神経に作用して、膀胱の筋肉をゆるめて膀胱に貯まる尿量を増やす薬です。
- ベタニス(ミラベグロン)
- ベオーバ(ビベグロン)
過活動膀胱治療薬の副作用
過活動膀胱の治療薬の中でも、特に抗コリン薬は口渇や便秘の副作用があります。高齢者ではもともと便秘気味の方も多く、過活動膀胱の治療薬の副作用で便秘がさらに悪化してしまうことがあるので注意が必要です。
ポリファーマシーとは
ポリファーマシーという言葉を聞いたことがありますか? 高齢者のなかには非常に多くの薬を服用している方もいらっしゃいます。服用する薬の種類が多くなると、それだけ副作用や有害事象が起きる頻度が高くなります。
「ポリファーマシー」は、「Poly」+「Pharmacy」で多くの薬ということですが、多くの薬を服用することにより副作用などの有害事象を起こすことを意味します。
何らかの症状を訴えてX医院を受診し、薬Aが処方される。
↓
薬Aの副作用で別の症状があらわれてY医院を受診する。
↓
Y医院で新たに薬Bが処方される。
↓
薬Bの副作用で、また別の症状があらわれてZ医院を受診する。
といった負のカスケードが起こります。こんなことあるの?と思うかもしれませんが、実際に起こっているのです。また、数か所の医療機関を受診し、それぞれの病院で薬が処方され、全部合わせると10種類以上の薬を飲むことになる ということもあります。
医師は、他の医師が処方している薬について、手を加えたくないことが多いのが現状です。
厚生労働省がだしている「高齢者の医薬品適正使用の指針」には、ポリファーマシー対策についても記載がされており、その中に過活動膀胱の治療で使う抗コリン薬も述べられています。
その指針では「抗コリン作用を有する薬剤は、口渇、便秘の他に中枢神経系への有害事象として認知機能低下やせん妄などを引き起こすことがあるので注意が必要である。」と記載があり、抗コリン薬は中止や減量を考慮することが望ましい、とも書かれています。
抗コリン薬の副作用で口渇が起きる ⇒ 水を飲む量が増える ⇒ 頻尿が悪化する ⇒ 抗コリン薬の量が増える といったことが起きるかもしれません。
また、抗コリン薬の副作用で便秘が起きる ⇒ 便秘薬が追加になる ⇒ 便秘薬の副作用が起きる ことも起きるかもしれません。
頻尿は生活の質(QOL)を低下させ、本人もつらい思いをすることが多いかもしれませんが、安易に抗コリン薬などの薬を服用するのは避けた方がよいでしょう。
まとめ
- 過活動膀胱の治療薬として、抗コリン薬やβ3作動薬といった薬があります。
- 副作用としては口渇や便秘があります。
- 過活動膀胱の治療薬はポリファーマシーの原因となりやすい薬のため注意が必要です。