グリニド系の抗糖尿病薬は、作用機序はSU剤と同じで、膵臓のβ細胞にあるSU受容体に作用しインスリンを分泌させます。
しかし、グリニドはSU骨格を持っていません。
SU剤は比較的作用時間が長いですが、グリニド系は速効かつ短時間に作用します。
日本で最初に発売されたグリニドです。
名前の由来は「速効・短時間型(fast-acting)」に由来します。(ファスティック インタビューフォームより引用)
肝臓で代謝され、M1(イソプロピル基の水酸化体)、M7(イソプロピル基の脱水素体)といった代謝物になります。
これらのAUCは、未変化体と比べ、それぞれ1/3、1/5となっています。
このことから、肝臓でも代謝されますが、腎臓からの排泄が主と考えることができます。
そのため、ファスティックは透析患者のような重篤な腎機能障害がある患者には禁忌となっています。
名前の由来は「食後のグルコース(グル:GLU)の上昇を、速やかな(ファスト:FAST)インスリン分泌促進作用により改善することからグルファスト(GLUFAST)」となっています。(グルファスト インタビューフォームより引用)
74%がグルクロン酸抱合で代謝されます。残りは25%程度がCYP2C9で代謝されます。
代謝物はインスリン分泌能はほとんどありません。
そのため、ほぼ肝臓で代謝される薬剤と考えることができます。
すなわち、ナテグリニドに比べて肝代謝の割合が高くなっていて、透析患者など腎機能が低下している患者でも使用できます。
名前の由来は「確実(sure)に食後(postprandial)の血糖を低下させる」ことから、「シュアポスト」となっています。(シュアポスト インタビューフォームより引用)
インタビューフォームでは、9.5%が尿中に排泄され、糞便中の排泄率は94.5%となっています。
グルファストと同様に、肝臓での代謝が主と言えます。
そのため、透析患者など腎機能が低下している患者でも使用できます。
速効型インスリン分泌促進剤のため、食直前に服用します。
食前(食事の30分前)に服用してしまうと、食事を摂取する前に血中濃度が上昇し、血糖値が下がり低血糖を生じてしまいます。
また、作用機序の観点だけでなく、食後に服用すると、食事の影響を受けて吸収が遅くなります。
せっかく速やかにインスリンを分泌させる薬なのに、ゆっくりと吸収され、ゆっくりとインスリンが分泌されるのでは意味がありません。
グリニドは食直前に服用しなければなりません。
グリニド系は、SU骨格を持たないインスリン分泌促進剤です。
必ず、食直前に服用しなければなりません。
ファスティックは透析患者に禁忌ですが、グルファストとシュアポストは透析患者など腎機能低下患者にも使用することができます。