以前、インスリンを出させる薬として、SU剤を紹介しました。今回は、グリニド系の糖尿病薬についてのお話です。名前の後が、〇〇グリニドとなっているため、グリニド系と言われます。
SU剤もグリニド系も膵臓を刺激してインスリンを出させます。SU剤は作用時間が長く、インスリンをダラダラと長い時間にわたって出すことになりますが、グリニド系は作用の発現が早く短時間で効果が消えます。言い換えると、すぐに効いて、すぐに効果がなくなるということです。本来、糖尿病でない健常な人であれば、食事をとって血糖値が上がったら、それに応じてすぐにインスリンが分泌されて、血糖値が下がったら、すぐにインスリンの分泌は減少しますので、グリニド系は本来の人間のインスリンの分泌に合った作用となっています。
グリニド系は作用がすぐに表れますので、食事の直前に服用しなければなりません。薬をのんで食事をとらずに時間がたつと低血糖を生じてしまいます。
また、食事の後に服用すると、腸からのグリニド系薬剤の吸収が遅くなって、インスリンを分泌させる効果が低下してしまします。せっかく、即効型の薬剤なのに、これでは意味がありませんよね。
また、以前に紹介したSU剤は腎臓から体の外に排泄されるため、透析患者さんなど腎臓の機能が低下している場合には使用できません。グリニド系の中でも、ファスティック・(ナテグリニド)は透析患者さんには使用できませんが、グルファスト(ミチグリニド)とシュアポスト(レパグリニド)は透析患者さんでも問題なく使用できます。
SU剤と同様に、インスリンを出させる薬なので、低血糖には十分注意が必要です。そのため、高齢者や認知症がある患者さんの場合はHbA1cを厳密に下げる必要はありません。厳格な血糖コントロールは、低血糖のリスクを上げたり死亡率を上げてしまう危険があります。
また、これもSU剤と同様に、膵臓を刺激してインスリンを出させる薬ですので、長期に使用し続けると、膵臓が疲れてしまいインスリンを出す機能が低下してしまうこともあります。