メキシチール(メキシレチン)はキシロカイン(リドカイン)と同じくIb群に分類される抗不整脈薬です。
適応症は「頻脈性不整脈(心室性)」と「糖尿病性神経障害に伴う自覚症状(自発痛、しびれ感)の改善」です。
錠剤やカプセル剤が服用できない患者の場合、以前は錠剤を粉砕したりカプセルを脱カプセルして投与していました。
最近では、簡易懸濁法が普及してきたため、粉砕したり脱カプセルする機会は非常に少なくなりましたが、嚥下機能が低下している場合は、脱カプセルすることもあります。
それでは、カプセル剤のメキシチールが服用できない場合は、脱カプセルしてもよいのでしょうか?
結論を言うと、経口摂取する場合は、メキシチールは脱カプセルは望ましくありません。
メキシチールは、ナトリウムチャネルを遮断し抗不整脈作用を発揮するIb群の抗不整脈薬です。
心筋細胞膜活動電位の第0相最大立ち上がり速度 (Vmax) を抑制し、不整脈の原因となるリエントリーを消失させます。
また、神経細胞膜の Na チャネルを遮断し、傷害された小径有髄線維と無髄線維の再生過程における異
常発火を抑制します。
この作用機序で、痛みの閾値を上昇させて鎮痛効果を示し、糖尿病性神経障害に伴う自覚症状(自発痛、しびれ感)の改善にも用いられます。
キシロカイン(リドカイン)も、メキシチールと同じIb群の抗不整脈薬ですね。
キシロカインといえば、抗不整脈薬としても使用しますが、局所麻酔剤のイメージが強いのではないのでしょうか。
ナトリウムチャネルをブロックし、神経における活動電位の伝導を可逆的に阻害し、知覚神経や運動神経を遮断して麻酔作用を示します。
メキシチールもキシロカインも、ナトリウムチャネルをブロックし、相対不応期を延長させて抗不整脈作用や局所麻酔作用を示します。
メキシチールが糖尿病性神経障害に伴う自覚症状(自発痛、しびれ感)の改善に適応があるのも納得ですね。
先ほども述べたように、メキシチールはキシロカインと同様にナトリウムチャネルをブロックします。
そのため、抗不整脈作用だけでなく、局所麻酔作用も有すると考えることができます。
もし、メキシチールを脱カプセルしてしまうと、口腔内で局所麻酔作用が発揮されてしまいます。
以前、メキシチールを脱カプセルして舐めてみましたが、舌の感覚がなくなりました。
局所麻酔作用があることがよく分かります。
やはり、メキシチールは脱カプセルしない方が良さそうですね。
少し話はずれてしまいますが、メキシチールは内服薬も注射薬も発売されていますが、キシロカインは錠剤やカプセル剤は発売されていないのでしょうか?
理由は、キシロカインは初回通過効果を受けやすい薬剤ということです。
キシロカインの初回通過効果は約70%です(キシロカインビスカス インタビューフォームより)。
内服しても、全身作用は非常に少ないということですね。
そのため、注射薬では頻用されますが、錠剤やカプセル剤は発売されていません。
キシロカインビスカスは口から摂取しますが、口腔内や消化管の麻酔を目的としていますので、全身作用を期待したものではありません。
メキシチールはキシロカインと同じようにナトリウムチャネルをブロックし局所麻酔作用があります。
そのため、カプセルを外して服用することは避けた方がよいですね。
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