毎年、国際連合から世界各国や地域の幸福度ランキングが発表されています。1位はフィンランド、上位はヨーロッパの国が多く、日本は50位台と低いのが現状です。
世界幸福度ランキングは、次の7つの指標をもとに作成されています。
2021年の日本の総合ランキングは56位と低く、上記の7つの項目で日本が上位に入るのは健康寿命くらいです。
普段、生活していて、それほど不幸だとか不便だとか感じることはない、という方が多いのではないでしょうか。もちろん、収入や家庭環境などで個人差はあると思いますが、一般的に日本が貧しい国だと思う人は少ないのではないでしょうか。
一般的に、学歴や収入が幸福度に影響していると思いますよね。神戸大学の西村和雄先生は、幸福度は学歴や所得よりも「自己決定」に関係している、という論文を発表しています。
全国の20歳以上70歳未満の男女を対象にアンケート調査を実施し、20,005件を対象に所得、学歴、自己決定、健康、人間関係の5つについて幸福感と相関するかについて分析しています。
この発表の中で、学歴は幸福度と統計学的な考えでは無関係だったと発表しています。
また、収入は多ければ多いほど幸福度が高いと思うのですが、収入は年収1,100万円で幸福度が最高で、それ以上年収が多くても幸福度は変わらないという結果と発表しています。
幸福感に与える影響力を比較したところ、健康、人間関係に次ぐ要因として、所得、学歴よりも「自己決定」が強い影響を与えると発表しています。
西村先生は「自己決定によって進路を決定した者は、自らの判断で努力することで目的を達成する可能性が高くなり、また、成果に対しても責任と誇りを持ちやすくなることから、達成感や自尊心により幸福感が高まることにつながっていると考えられる」とまとめています。
人生は選択の連続です。今日は、どの服を着ていこうか、どの道を歩いて行こうか、ランチは何を食べようか、といったように日常でも様々な選択があります。
それだけでなく、進学や就職など人生の大きな分岐点での選択は人生を左右し満足感に影響を与えます。
私の周りの両親や親戚の中に医療関係の仕事をしている人は全くおらず、薬剤師という職業すら知りませんでした。化学が得意だったということもあり、薬学部を目指すようになりました。
自分で決めた進路でもあり、私は薬剤師になってよかったと思い、やりがいを感じて仕事しています。
毎年、数名の薬学部の実習生が病院で実習をしますが、私は実習に来る学生全員に「なぜ薬剤師になろうと思ったの?」という質問をしています。半分くらいの学生からは「親に勧められたから」という答えが返ってきます。
人に勧められて、選択肢のひとつとして薬剤師という職業が上がってもいいのですが、最終的に自分の考えで決定したのかどうかが重要だと思います。
リベ大の両学長がいう「原因自分論」につながるところがあると思っています。「自分で決めた進路や職業なのだからやるしかない」と思うのか、他人に言われて薬剤師になっても嫌なことがあると「親に言われて薬剤師になったし…」と親の責任にしてしまうかもしれません。
ちなみに、私の妻は自分では服飾系の専門学校に進みたかったけれども、母親に勧められて看護学校に進学し看護師になったそうです。給料の面などから今でも看護師として働いていますが、自分がなりたいと思った職業ではないため、不満ばかり言っています。
自分の人生、人のせいにしないで、自分で選択・決定し、生きていきたいですよね。もちろん、健康で良好な人間関係が築かれたうえでの話ですので、心身ともに健康であることが大事です。
こちらの書籍も参考にしてください。