薬の中には、口の中で噛み砕いて服用してはいけない薬があります。
通常、服用した薬は胃で溶けて腸で吸収され、血液中に入り全身に回って効果が現れます。胃の中は胃酸が分泌されているため強い酸性状態にあります。薬の中には酸性の状態では分解されてしまい効果が無くなってしまうものがあります。
また、痛み止めのように胃の表面を守る成分を減らしてしまう薬は、胃で溶けてしまうと直接胃の粘膜を荒らしてしまい胃潰瘍の原因になってしまいます。
腸溶錠は胃の中の酸性状態では溶けず、腸に届いたところで溶けるようにコーティングされています。そのため、噛んでしまうと腸で溶けるようにつくられているコーティングが壊れてしまうため、胃酸で分解されて効果が無くなってしまったり副作用が出やすくなったりしてしまいます。
副作用を軽減する目的で腸溶錠となっている薬の代表的なものとして、血液をサラサラにする薬のバイアスピリン(アスピリン)があります。バイアスピリン(アスピリン)はロキソニンなどと同じ痛み止めの成分ですので、胃で溶けてしまうと胃潰瘍などの原因となってしまうため腸溶錠となっています。
胃酸で分解されるのを防ぐ目的で腸溶錠となっている薬の代表的なものとして、胃薬のプロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor:PPI)があります。オメプラール(オメプラゾール)やタケプロン(ランソプラゾール)、パリエット(ラベプラゾール)などのPPIは酸性の状態では効果が無くなってしまいますので腸溶錠となっています。噛んで服用した場合は、せっかく服用しても胃酸で分解されてしまい全く効果が現れません。ただし、PPIの中でもタケキャブ(ボノプラザン)は酸に対しても安定しているため噛んで服用しても問題ありません。
薬の効果を持続させる目的でコーティングされている薬を徐放錠といいます。体の中で直ぐに分解されてしまう薬は効果が持続しないため、1日3回もしくは4回と頻回に服用しなければなりません。錠剤の表面をコーティングして、少しずつ薬の成分が放出される薬を徐放錠といいます。徐放錠にすることで1日1回もしくは2回と服用回数を減らすことができ、飲み忘れを避けることにつながります。
代表的なものとして、アダラートCR(ニフェジピン)やユニフィルLA(テオフィリン)など、くすりの名前の後ろにCR(controlled releaseの略)やLA(long actingの略)などがついている薬は徐放錠であることが多いです。
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