良問! 第107回薬剤師国家試験 問292、293 風しんについて学ぶ

医療

第107回薬剤師国家試験の問292、293は風しんに関する問題が出題されています。

以前は5年おきに大きな流行がありましたが、最近は患者数が増加しているようです。

この問題で、風しんについて重要なことを学ぶことができるため、非常にいい問題だと思います!

今回は、国家試験の問題を参考に、風しんについて解説していきます。

今回の記事は、厚生労働省のHPから引用しています。

風しんについて|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

風しんとは

風しんウイルスによる感染症

風しんは、風しんウイルスによって引き起こされる感染症で、発熱や発疹、リンパ節の腫脹などの症状が現れます。

子どもでは症状は比較的軽いのですが、稀に、脳炎や血小板減少性紫斑病など重症な症状が、2000人から5000人に1人くらいの割合で生じることがあります。

大人が風しんにかかると、子どもに比べ発熱や発疹の期間が長く、関節痛がひどいことが多いようです。

潜伏期間は2~3週間と比較的長いです。

風しんは全数報告対象(5類感染症)であり、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出なければならないこととなっています。

感染経路は飛沫感染

感染経路はインフルエンザウイルスと同じで飛沫感染です。

咳やくしゃみなどの飛沫により感染します。

これを機に、空気感染をする感染症を覚えておくとよいですね。

空気感染する感染症は、麻しん(はしか)、水痘(水ぼうそう)、結核 の3つを覚えておきましょう。

風しんワクチン

風しんの予防のためには、ワクチン接種が勧められます。

ただし、風しん単独のワクチンは、現在は市場に出回っていないため、どこの医療機関にも在庫はありません。

風しんワクチンを接種したい場合は、麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)を接種します。

麻しんのワクチンも入っていることになりますが、現状ではやむを得ない状況です。

小児の場合は、生後12カ月から24ヶ月の間に1回目を接種します。

次に、2回目は小学校に入学する1年前から入学日の前日までに接種します。

成人の場合は、年齢を問わず接種することができます。

風しんワクチン接種が勧められる対象

今後、妊娠を予定している女性

妊婦が風しんにかかると、眼や心臓、耳等に障害をもつ(先天性風しん症候群)子どもが出生することがあります。

妊娠1ヶ月でかかった場合50%以上、妊娠2ヶ月の場合は35%などとされています。

妊娠中はワクチンを接種できないため、妊娠を希望する女性は、早めに風しんワクチンを接種しておく方がよいですね。

多くの病院で、妊娠が発覚した時点で風しんの抗体価を測定し、もし低い場合で今後妊娠を希望するのであれば、次の妊娠に備えて、出産後に風しんワクチンを接種する試みがされています。

昭和37年度~昭和53年度生まれの男性

この年代の男性は、過去に公的に予防接種が行われていないため、自分が風しんにかかり、家族や周囲の人たちに広げてしまうおそれがあります。

そのため、2024年度まで、風しん抗体検査と予防接種を原則無料で受けることができます。

対象の男性には、市町村から、無料で受けられるクーポンが配布されています。

私も、ドンピシャでこの世代に入っています…

そのため、市役所から、クーポン券が届いています。

しかし、私は病院勤務ですので、病院で抗体価を測っていて、基準値を超えていることが確認できていますので安心しています。

昭和37年度~昭和53年度生まれの男性は、ぜひ、クーポン券を使って、検査を行ってください。

107回薬剤師国家試験 問292、293の解説

問292

選択肢の1は、「帰国途中又は帰国後に感染した。」となっていますが、先にも書きましたが、潜伏期間は2~3週間と長いため、この選択肢は間違いですね。

選択肢の2は、「DNA ウイルスに感染した。」ですが、風しんウイルスはRNAウイルスですので、この選択肢も間違いですね。

選択肢の3は「リンパ節の膨張が認められる。」です。これは正しいですね。

選択肢の4は「白血球数が減少している。」ですが、これは正しいですね。

選択肢の5は「発熱は2週間以上続く」ですが、これは間違いです。成人が罹患した場合は症状が強く現れやすいですが、発熱は5日程度で消失します。

問292は難しいような気もしますが、風しんの症状として、3~5日間の発熱、リンパ節腫脹、発疹の症状を覚えておけば正しい答えが導き出せると思います。

問293

この問題を解くうえで理解しておくべきことは

・妊娠中に風しんにかかると眼や心臓、耳等に障害をもつ(先天性風しん症候群)子どもが出生することがある

・今まで風しんにかかったことが確実である(検査で風しんの感染が確認された場合)場合は、免疫を持っていると考えられることから、予防接種を受ける必要はない

・小児期に風しんワクチンを2回の定期接種で接種していれば、追加接種は必要ない

・昭和37年度~昭和53年度生まれの男性は風しんの抗体価が低い可能性がある

以上のことが理解できていれば、正解は2と3にたどり着けると思います。

まとめ

今回は、風しんについてワクチン接種も交えながら説明してきました。

ワクチンに関する問題は、臨床現場でも頻繁に遭遇する内容で、非常にいい問題だと思います。

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