病棟にいると、夕方に日勤の看護師から準夜勤務の看護師への申し送りが聞こえてきます。
その中で「3日間排便がないので、今日のVSにセンノシドを2錠飲ませてください」というような内容を耳にすることがあります。
「3日間排便がないので、今日の寝る前にセンノシドを2錠飲ませてください」ということですね。
刺激性の下剤よりも、酸化マグネシウムやアミティーザなどでコントロールがいいのでは…などという考えもありますが、センノシドを飲ませたくなる気持ちも分かります。
今回の記事は、下剤の内容ではなく、会話の中で出てきた「VS」について解説していきたいと思います。
医療現場では、日本語はもちろん、英語だけでなく、ドイツ語が混在して使用されています。
頻用されるドイツ語由来の用語としては、「ワイセ」があります。
ドイツ語で「weiß」、英語では「white」ですね。
日本語では「白」ですので、「ワイセ」は「白血球」のことを示します。
ちなみに、白ワインの事をドイツ語ではWeißweinといいます。
他にヘモグロビン(Hb)のことを、「ハーベー」といったり、結核(Tb)の事を「テーベー」といいますね。
これもドイツ語の発音ですね。
ドイツ語でABCDを発音すると、アー、ベー、ツェー、デーとなります。
そんな具合で、Hbは「ハーベー」、Tbはテーベーと読みます。
VSもドイツ語を省略したものになります。
正式には「vor dem shlafen」の略語になります。
「vor」は英語では「before」の意味です。demは前置詞です。
「shlafen」は英語では「sleeping」を意味します。
つまり、ドイツ語で「vor dem shlafen」は英語では「before sleeping」となります。
VSは寝る前という意味になりますね。
寝袋のことを、「シュラフ」といいますね。ドイツ語のShlafenと関係があることが分かります。
寝袋は、正式にはドイツ語では「Schlafsack」ですが、sackが袋の意味ですので、省略してSchlaf(シュラフ)といいます。
このように、医療の現場では日本語、英語だけでなく、ドイツ語も混在して使用されています。
他にも、「ツッカー」や「ワッサー」、「マーゲン」など多くのドイツ語が使用されています。
単に「VS」という用語を使うのではなく、ドイツ語が起源と知っていて使うと、カッコいいですね。