【誤飲に注意が必要な日用品】 乾燥剤・電池・ホウ酸団子

医療

通常、飲食可能であるもの以外のものを口にして飲み込んでしまうことを「誤飲(ごいん)」といいます。

誤飲した患者さんが来院した場合、われわれ薬剤師に医師から対応方法について問い合わせが来ることもあります。

特に赤ちゃんなど、小さいお子さんがいる家庭では、誤飲しないよう、手の届く所に危険なものを置かないことが重要です。

大人でも、認知症の方では間違って口にしてしまうことがあるため注意が必要です。

小さいおもちゃなど、物理的に気道を閉塞して窒息してしまうものはもちろんですが、日用品の中には、消化管の中で化学反応を起こして、非常に危険なものもあるため注意が必要です。

乾燥剤など、身近にある日用品で注意が必要なものをあげてみました。

乾燥剤

お煎餅や海苔、お菓子などの湿気を防ぐ目的で、包装の中に乾燥剤が入っています。

主に、シリカゲル、シート状乾燥剤、生石灰の3種類があります。

特に生石灰の乾燥剤を誤飲した場合は非常に危険ですので、すぐに医療機関を受診しましょう。

シリカゲル

よく見かける乾燥剤です。

無色や青、紫などの透明な粒が入った乾燥剤です。

誤飲しても消化されることはなく、そのまま便として排泄されるため、少量の誤飲であれば問題はありません。

家庭用の放送単位の誤飲では中毒症状は生じないとされています。

大量に誤飲したり腹痛などの症状がある場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

シート状乾燥剤

吸湿性の素材を両側からラミネートした乾燥剤です。

薄い板状で、かさばらないため、お菓子や健康食品などの乾燥剤としてよく使用されています。

われわれ薬剤師の場合、シート状の乾燥剤は薬の包装内に入っているのをよく見かけます。

これも誤飲(誤食)したとしても、大きな問題はありません。

ただし、大量に誤飲したり腹痛などの症状がある場合は、医療機関を受診しましょう。

生石灰(せいせっかい)

酸化カルシウムという成分の乾燥剤です。

吸湿効果が高く、安価なため、海苔など湿気に弱い食品の乾燥剤として用いられることが多いのが生石灰です。

包装の表示に「食べない!」と記載されているのはもちろんですが、「濡らさない!」とも記載されています。

水分と触れることで化学反応を起こし高熱を発します。

誤飲した場合、食道や胃、十二指腸の粘膜と触れて、水酸化カルシウムを生じて高温となります。また、強アルカリのため消化管の粘膜で強い炎症が起き、ひどい場合は穿孔(消化管に穴があく)することもあり非常に危険です。

誤飲した場合は非常に強い腹痛症状がでると予想されます。

駅弁などで、紐をひっぱるとシューっと音が鳴り湯気が出て温めるものがありますが、これは生石灰と水分を反応させて温めています。

電池

通常、バリウムなど消化されないようなものは、2~6時間程度で自然に便(うんち)として排泄されますが、電池を誤飲した場合はすぐに医療機関を受診しましょう。

単1の大きな電池を誤飲することはまずないと思います。

単4の電池でも誤飲することはないと思いますが、危険なのはボタン電池です。

電池の中に入っている強アルカリの水酸化ナトリウムや水酸化カリウムが電池の外に流れ出た場合、消化管を壊死させて穿孔を起こし非常に危険です。

通常の場合は、ほとんど48時間以内に自然に便として排泄されて無症状ですが、消化管穿孔などを起こすこともあるため、誤飲した場合は医療機関を受診した方がよいでしょう。

ホウ酸団子

昭和のゴキブリ駆除の代表といえばホウ酸団子です。

自宅でホウ酸やタマネギなどを混ぜたものを団子状にしたものです。

最近は、コンバットなど既製品のゴキブリ駆除剤が非常に有効なため、ホウ酸団子をつくる家庭はほとんどないと思いますが、誤食は非常に危険です。

成人のホウ酸の中毒量は1~3gといわれています。

ホウ酸団子1個あたり(10~15g)に、ホウ酸はおおおそ7gのホウ酸が含まれているため、子どもの場合は少量を誤食しただけでも非常に危険です。

消化管から1時間以内にほとんどが吸収されるため、誤食した場合は速やかな対応が必要となります。

コンバットはピレスロイドという成分で、哺乳類や鳥類など恒温動物が摂取しても速やかに分解されて体の外へ排泄されるため、もし誤飲しても害はありません。

まとめ

生石灰の乾燥剤やボタン電池、ホウ酸団子など、身の回りには誤飲や誤食した場合に非常に危険なものがあります。

赤ちゃんなど小さい子どもさんだけでなく、認知症のある大人も誤食の危険があるため注意が必要です。

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