帯状疱疹とは
帯状疱疹はヘルペスウイルスが原因の感染症で、痛みを伴う水疱の発疹が現れ、典型的な水疱が皮膚に帯状に現れると帯状疱疹の診断されます。患部に慢性痛が生じることもあります。水痘(水ぼうそう)と帯状疱疹は、どちらも同じウイルスによって引き起こされる病気です。初回感染では水痘になりますが、何らかの原因で免疫力が低下しウイルスが再活性化すると帯状疱疹になります。
帯状疱疹の治療薬 一覧(飲み薬)
治療に使う飲み薬としては以下の4種類があります。どれも医師の診察を受けて処方してもらう薬で、市販薬で帯状疱疹に使用できる薬はありません。
- ゾビラックス(成分名はアシクロビル)
- バルトレックス(成分名はバラシクロビル)
- ファムビル(成分名はファムシクロビル)
- アメナリーフ(成分名はアメナメビル)
ゾビラックス(アシクロビル)
帯状疱疹治療薬の古典的な薬です。ヘルペスウイルスに対して、非常に高い効果がありますが、腸から吸収されにくく、効き目が短いため、1日5回服用しなければならない欠点があります。
重症な場合は入院して、アシクロビルの点滴を受けることもあります。
バルトレックス(バラシクロビル)
ゾビラックスの吸収されにくく効き目が短い点を改良した薬です。アシクロビルに、バリンというアミノ酸をくっつけて、腸からの吸収を良くし、1日3回の服用で効果がでます。体の中に入るとゾビラックス(アシクロビル)と同じ成分となって効果を表します。
ファムビル(ファムシクロビル)
1日3回の服用で、バルトレックス(バラシクロビル)と同等の効果が得られる薬です。
アメナリーフ(アメナメビル)
アメナメビル、面白い名前ですよね。帯状疱疹治療剤の中で最も新しい薬です。1日1回の服用で効果が得られます。また、ゾビラックス(アシクロビル)よりも高い抗ウイルス効果があるといわれています。
薬剤師国家試験への出題
帯状疱疹治療薬の半減期の違いに関する内容は、過去の国家試験にも出題されています。
また、ファムシクロビルに関する問題も第106回の国家試験に出題されています。
帯状疱疹治療薬の注意点・副作用
ゾビラックス(アシクロビル)、バルトレックス(バラシクロビル)、ファムビル(ファムシクロビル)は腎臓から体の外に排泄されます。そのため、腎臓の機能が低下している場合、使用量を減らさないで使用してしまうと精神症状(幻視や幻覚、不穏状態など)の副作用が現れます。アシクロビル脳症と言われることがあります。
アメナリーフ(アメナメビル)は、肝臓で分解される割合が高いため、腎臓の機能が低下している場合でも問題なく使用できる点でメリットがあります。
帯状疱疹は痛みを伴う場合が多いため、痛み止めを使用しますが、ロキソニンなどの痛み止めは使用してはいけません。
ロキソニンなどの痛み止めは腎臓の働きを低下させることがあるため、ゾビラックス(アシクロビル)やバルトレックス(バラシクロビル)と一緒に使用すると、副作用が生じやすくなってしまいます。
皮膚科の専門の医師は、帯状疱疹治療薬と一緒に使用する痛み止めはアセトアミノフェンを選ぶと思いますが、専門外の医師はロキソニンなどの痛み止めを処方することもありますので注意が必要です。
まとめ
- 帯状疱疹治療の飲み薬では バルトレックス(バラシクロビル)、ファムビル(ファムシクロビル) 、アメナリーフ(アメナメビル)がよく使用されます。
- バルトレックス(バラシクロビル)、ファムビル(ファムシクロビル) を使用する際は腎臓の機能に注意が必要です。
- 痛み止めを使用する場合はロキソニンなどの痛み止めは厳禁です。アセトアミノフェンを使用しましょう。